熱処理により得られる鋼の硬さ 　鋼（炭素０．０４〜２．１％を含む鉄）を焼入れするとマルテンサイトという硬い金属組織が得られます。このマルテンサイトは非常に硬いのですが、その最高硬さはほとんど鋼に含まれる炭素の含有量によって決まり、その他の合金元素は硬さには影響しません。 　下のグラフは鋼の炭素量と焼入れで得たマルテンサイトの硬さとの関係を示したものです。炭素量０．６％までは炭素量が増すほど焼入硬さは大となり炭素量が０．６％以上になると焼入硬さはそれほど増加しません。
		但し上のグラフは理想値であり、実際の熱処理現場で得られる硬さは鋼材の焼入性や質量効果等によって異なります。焼入性とは同一の形状（質量）であっても鋼種によって焼きの入り方が変わり、質量効果とは同一の鋼種でも大きさ（質量）によって焼きの入り方が違ってくる事をいいます。焼入性の良い鋼は質量効果が小さく、大型部品までよく焼きが入ります。但し焼入性が良くても硬さは炭素量によって影響されるので炭素量の少ない鋼は十分な硬さを得ることが出来ません。焼入性の改善に効果のある元素はＢ，Ｍｎ，Ｍｏ，Ｃｒ等で、これらを含有する鋼材は質量効果が小さくなります。 　次回は焼入性と質量効果に関し、代表的な鋼材の焼入性曲線を紹介したいと思います。
		このホームページは、（株）ヒーテックが運営しています。 見積もりから技術的相談まで、お気軽にメール、FAXください。 製品・サービス・技術、一般のお問い合わせは ＴＥＬ:(026)-248-5711 FAX:（026)-248-5757