ちょっと役立つ熱処理の知識
第2回 金属は「変態」?
熱処理は、人間が身につけた工業技術としては最も古いものの一つです。例えば、世界のどんな場所に行っても、鍛冶屋さんがいて、鎌のような農具や、包丁やナイフのような生活用品を作っていますが、そこで使われているのも熱処理技術です。私たち人間は、熱処理技術を見つけ出すことによって進化することができた生き物ともいえます。
そんな熱処理は、もちろん現代でも金属の機械的性質を向上するために欠かせない技術となっています。身近な家電品から航空宇宙産業まで、あらゆる場所で使われている製品のなかで、重要な機能を果たしている金属部品。そこに、加熱と冷却のプロセスを組み合わせることにより、最適な強さ・硬さ・潤滑さなどの性質を創りだします。では、なぜこのようなことができるのでしょうか?
私たちにいちばん身近な金属である「鉄」でお話をして見ましょう。
常温の鉄を加熱して温度を上げていくと、ある温度(910℃)で突然、原子の配列が変ってしまいます。この突然変異を起こす温度を「変態点」と言います。変態とはちょっと不思議な言い方に感じられるかもしれませんが、つまり「性質がガラッと変ること」です。
普通、鉄は温度が上がると徐々に膨張するのですが、この変態点に達すると、突然収縮します。それは、原子の配列が変り、鉄の組織が変ったことによるものです。
このことを上手に利用して、鉄の持つ性質を望みどおりのものに変えていくのが熱処理という技術なのです。
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