ちょっと役立つ熱処理の知識
第8回 鋼は本当に強い?
洋の東西を問わず、鉄や鋼は昔から強いものの例えに挙げられています。「鋼のようにたくましい」とか、「−−の鉄人」とか。「押しても引いてもびくともしない鋼みたいな奴」とか。
確かに鋼は、少々押しても、圧縮しても、滅多なことでは壊れません。もしも押して壊れるようだったら、プレス鋼板なんて作れるわけがありません。でも、引っ張る力、引き伸ばす力には案外弱いのです。
針金を何度も折り曲げていくと切れてしまうことは、誰でも体験していると思いますが、それは、曲げた外側に引っ張る力が強く働き、亀裂が入ってしまうためです。
そういうわけですから、鋼の強さを判定する基準は、まず第一に「引張り強さ」ということになっています。
この引張り強さを高めるには、鋼の中に含まれる炭素(C)の量を増やし、熱処理をして硬くすることになります。硬さと強さはある限界までは比例するからです。ところが、その限度を超えてしまうと、硬くなっても、引張りに弱くなってしまうのです。そのバランスを最も良い状態にするために、取られるのが調質という方法です。焼き入れをして硬くした鋼を、400℃以上で焼き戻しするのです。
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