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金属の話し
番号

ちょっと役立つ熱処理の知識


第9回 ストレスも使いよう


写真 人間が社会生活をしているとストレスがたまるように、鋼などの材料にもストレスが存在します。ストレスがたまると、人間は疲れやすくなったり、病気がちになったりするわけですが、鋼もいろいろな影響を受けます。よく建築現場などで、鉄筋材の曲げた部分が赤く錆びているのを見ることがありますが、あの錆もストレスの仕業です。
 ストレスのほとんどは、外から受けた力によって内部に生ずる抵抗のことです。例えば鋼の棒に力をかけて曲げたとしますと、内側には圧縮によるストレス(圧縮応力)が、外側には引張りによるストレス(引張応力) が生まれるわけですね。
 ところで、熱処理をした時には、材料の内部に発生する力でストレスが生まれます。熱したり、冷ましたりすることによって、鋼が膨張・収縮するサーマルストレス(熱応力)。「変態点」を越えることで性質が変って生まれるトランスフォーメーションストレス(変態応力)。この2つです。
 熱処理では、この2つのストレスが重なり合って生まれるため、時として製品に歪みができたり、焼き割れを起こしたりするのです。
 しかしストレスも使いようです。例えば、高周波焼き入れや浸炭焼き入れといった表面処理では、製品の表面層だけを焼入れすることによって、圧縮応力を残留させ、疲労に強い性質を持たせているのです。


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